コンクリート二次製品の選び方とは?最適な製品を見極める5つのポイント

コンクリート二次製品の選び方とは?最適な製品を見極める5つのポイント

コンクリート二次製品の選び方とは?最適な製品を見極める5つのポイント

コンクリート二次製品の選び方とは?最適な製品を見極める5つのポイント

コンクリートは、道路や建物などさまざまな形で私たちの生活を支えている建築資材です。その中でも、あらかじめ工場で製造される「コンクリート二次製品」は、施工期間が短縮でき品質も安定していることから、幅広く使用されています。しかし、使用する場所や使用目的を間違えると、その力を十分に発揮できません。実際に、不適切な製品選定により早期劣化や崩壊が起きた事例も少なくありません。そこで最適なコンクリート二次製品を選ぶために、「使用目的」「性能」「品質」などの視点から知っておくべきポイントをご説明します。

 

ポイント1、使用目的について

コンクリート二次製品は、護岸ブロックやL型側溝などさまざまな種類があります。まずは「どの場所で、どのような目的で使用するのか」を明確にしましょう。

 

●河川や海の周辺(護岸ブロックなど)

洪水や高潮、津波などから土地や建物を守る役割を果たします。

失敗例: 和歌山県の某河川では、流速を考慮せずに軽量タイプの護岸ブロックを使用したため、豪雨時に流失し、周辺地域に浸水被害をもたらしました。

 

●下水道(マンホール・浄化槽・水路など)

汚水をスムーズに排水し、衛生環境を維持するために使われています。

 

●道路(L型側溝など)

雨水の排水を助け、道路の冠水を防ぎます。

 

●建物(基礎ブロック・杭・壁材・車止めなど)

建物の土台となる基礎ブロック、耐火性や防音性が高い壁材、駐車場の車止めなど多様な用途で使われています。

 

ポイント2、性能について

使う場所や目的によって必要な性能が変わります。

 

●耐荷重性

車両がよく通る道路には、重さに耐えられる製品が必須です。

JIS規格例: JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)では、大型車両が通行する道路用製品に対して49kN/m²以上の耐荷重性能を要求しています。

 

●耐久性

塩害、凍結融解、湿度などの耐久性も必要です。海の近くでは塩害に強いもの、寒い地域では凍結に強いものを選びましょう。

失敗例: 北海道の某駐車場では、凍結融解抵抗性の低いコンクリートブロックを使用したため、わずか3年でひび割れが発生し、5年目には全面的な交換工事が必要になりました。適切な製品を選んでいれば、通常15〜20年は使用可能でした。

 

●施工性

施工期間の短縮は、コスト削減につながります。設置のしやすさも重要です。

 

ポイント3、規格や品質について

通常のコンクリート二次製品は、JIS規格(日本産業規格)に基づいて製造されます。ただし、現場の状況によっては特注品が必要な場合もあります。安心して使える製品かどうか見極めましょう。

 

JIS規格

国が定めた基準を満たしているコンクリート二次製品であれば、品質も信頼できます。製造工場がJIS認定を受けているのか、しっかり確認してください。

主なJIS規格例:
- JIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)
- JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)
- JIS A 5373(プレキャストプレストレストコンクリート製品)
- JIS A 5363(コンクリート積みブロック)

 

●製品の検査記録

強度試験が行われサイズが正確か、検査記録をチェックしてください。製品に添付される検査証明書には、圧縮強度試験結果や寸法精度などの重要な情報が記載されています。

 

ポイント4、環境への配慮

これからの時代は建設業界でも人手不足や環境問題がますます深刻になります。コンクリート二次製品の選び方でも、持続可能性について考える必要があるでしょう。

 

CO2排出量の削減

製造時に二酸化炭素を減らす工夫をしているか、確認しましょう。世界的な脱炭素の流れを意識し、地球に優しい製品であることが求められています。

メリット: 環境配慮型コンクリート製品を使用することで、企業のSDGs達成や環境評価のアピールポイントになります。近年では公共工事の入札条件にも環境性能が含まれるケースが増えています。

 

●長寿命設計

長期間使える製品は、廃棄の手間を省き人手不足の解消にも役立ちます。

事例: 高耐久性ブロックを使用した某市の護岸工事では、従来品と比較して約1.5倍の耐用年数を実現し、維持管理コストを30%削減することに成功しました。

 

ポイント5、総合的な判断

最終的に、現場の状況を見ながら製品を決めましょう。

  • ・地盤条件
  • ・気象条件
  • ・施工のスケジュールなど

 

まとめ

コンクリート二次製品は、現場でつくるコンクリートよりも品質が安定し、気象や環境の影響も受けにくいという特長があります。しかし、知識がない状態で製品を選んでしまうと、ひび割れや早期劣化などのトラブルにもなりかねません。

 

失敗例: ある商業施設の駐車場では、交通量を過小評価して強度の低いインターロッキングブロックを選定してしまったため、開業後わずか1年で破損が目立ち始め、顧客満足度の低下と予定外の補修コスト約500万円が発生しました。

 

だからこそ、「どんな使用目的なのか」「必要な性能はあるか」などをしっかり押さえることが大切です。さらに、信頼できるメーカーや工場に相談したり、検査記録や資料を活用したりしながら、より良いコンクリート二次製品を選びましょう。